シオン【完結】


「うまかった、まじでありがとう、久美」

「ふふ、よかった」


ご飯を食べて、準備を終えた俺。
久美も準備して、一緒に出ようと玄関に向かった。


久美の家と、バイト先で分かれる道に来て、久美に向かい合う。


「ありがと、本当に。久美」

「ううん、明日終わったら来るね」

「わかった」


それじゃあ、と離れようとした時だ。


「あ、遼佑!」

「ん?」


久美の呼びかけに足を止める。
俺の洋服の裾を掴んでは俯いていた。


「どした?」


優しく問いかけると、久美は俺の顔を見て真剣な瞳で言った。


「…今日、何があっても驚かないで。
それで、出来たら何もしないで」

「え」

「……後…私の事、嫌いにならないで」

「はあ?何を言ってるの。久美を嫌いになんかなるわけないだろ」


俺が笑いながら言うけど、久美は黙ったままだ。