シオン【完結】



「……どしたんだ」

「ううん、…嬉しくて」

「…そか」


久美は俺の胸に顔を埋めると、暫く泣きじゃくっていた。


どうしてだかわからなかったけど、落ち着くまで俺は久美の背中を擦る。
段々と落ち着いて来たのか、久美はひっくと肩を揺らしながらもやっと笑みを見せた。


「ごめん、なんか泣いちゃった」

「何だ、それ。もう大丈夫なのか?」

「うん、吃驚したでしょ」

「かなり」

「もう平気」

「本当に?」

「うん」


コクンと頷く久美に、俺は安堵の息を漏らした。


「なんだよ、生理前で情緒不安定か」

「うわ、セクハラ発言だよ、それ」

「あはは、久美にならいいだろ」

「訴えますよ、遼佑さん」

「ぶは」



どうやらいつもの久美に戻ったみたいだ。

よかった。