シオン【完結】


「どうぞ、中に入って」

「お邪魔します」
「お邪魔します」


久美の母親に案内されるがまま、俺達は進んで行く。
リビングに通されて、「どうぞ、座って」と言われたからソファへと腰かけた。


それから、久美の母親は棚の上から何かを俺達に差し出す。


「はい、これ」


俺と祥太郎は黙ったまま、それを見つめた。


「……いい加減、整理しなきゃって…、久美の部屋を整理してたの。
それでね、見付けたのよ」

「……」
「……」

「二人に見せないと、ってそう思ったから今日会えて嬉しい」


微笑む久美の母親に、祥太郎が問いかける。


「…読んで…いいですか?」

「ええ、それは差し上げるわ」

「……」


祥太郎は机の上に乗った紙に、ゆっくりと手を伸ばした。


【私の大事な人】


その、紙の最初にはそう記されていた。

……これは。

過去、出された宿題の作文だ。