シオン【完結】


「祥太郎君に、遼佑君」


ニコッと笑うその顔が、久美にそっくりだ。
久美は母ちゃん譲りだなあ。

俺達はペコっと頭を下げると、久美の墓前まで行く。



「来てくれたのね、ありがとう」

「いえ、今まで来れずすみません」

「そんな事ないわよ、きっと久美喜んでるわ」

「……」
「……」

「あ、お花まで。ありがとう」

「いえ」


祥太郎は慌てて、仏花を久美の母親へと手渡していた。
久美の母親はそれを丁寧に活けて行く。


「挨拶してあげてね、私はもう帰るから」

「はい」

「あ。そうだ。二人はまだこっちにいるかしら?」

「います」
「いますよ」

「そう、祥太郎君に渡したいモノあるから持って行くわね」

「……渡したい、モノ?」

「ええ」


思わず、祥太郎と顔を見合わせた。
久美の母親が渡したいモノ?