シオン【完結】




甘い時間を過ごした私達は、並んで壁の時計を見る。
後一分。


それで、私は思い出すんだ。



「久美、愛してるよ」



遼佑の優しくて、温かい唇が私触れる。


その瞬間。



様々な出来事が私の脳内を駆け巡った。



≪遼佑ーーーーーーーーっっっ!!!!!≫



キンっとする程の、自分の声。


頭に浮かぶのは。




……変わり果てた遼佑の、姿。



自然と涙が頬を伝う。


心配そうに私の顔を撫でながら、覗き込む遼佑に必死で笑顔を作ろうとするけど。
どうしても、その顔は歪む。



今、遼佑がここにいる事が「…嬉しくて」。
ただ嬉しくて。


祥君を犠牲にしてしまった、命だったけど。



それでも。

私は遼佑が今、ここにいる事が嬉しくて。