シオン【完結】



「久美!!」


俺は何も言う事が出来なかった。

走り去る久美の後ろ姿。
それを追い掛けようとする祥太郎。


ハッとして、俺は事故の事を思い出す。

もう少しじゃねえのか?


このままいけば、間違いなく祥太郎が事故に遭う。



「おい!祥太郎待てよ!!」


息を切らしながら、俺はどうにか祥太郎の腕を掴む。


「放せよ!」

「少しだけ聞けって!!」

「何がだよ!久美を追い掛けさせろよ!!!」



今はまずいんだって、校門に向かったら!
そう言いたいけど、言えない。



とにかく、もう暫く祥太郎をここに引き留めないと。
ああ、くそ。
あの事故が起きた時間とかもっとハッキリ覚えてたら。


そんな事今考えてもどうしようもないのに、自分に苛立つ。