シオン【完結】


俺は窓際の席。
久美はそれより後ろ。

祥太郎は久美の右前。


近い様で、遠いその距離。


俺は外を見つめたまんま、口を開く。


「祥太郎はさー、久美の事本気で好きだよ」


久美の返事はない。
だけど、構わず続けた。


「俺は二人に幸せになってもらいたいんだよ」


そう、本当に。

これは何度も思った事。



元々、久美の笑顔を守ってたのは祥太郎だったんだ。


元に戻るだけ。


「……っ、ぐす」


久美の泣く声がして、俺はバッとそっちを振り向いた。
久美は両手で顔を覆って、泣いていた。


「おい、何で泣いてるんだよ」


ガタッと、音を立てながら俺は立ち上がる。
だけど、久美は首を振ったまま何も言わない。