「なあ?久美?嘘だよな?」

「……祥君、それには理由が…」

「何?認めるってわけ?昨日俺の誘い断って、嘘までついて、二人で出掛ける理由って何?」

「っ…」


矢継ぎ早に言われて、久美も言葉を詰まらせる。
それ以上に、祥太郎の冷たい視線に言い返せなかったんだと思う。

俺もこんな祥太郎初めて見た。


プレゼントについて話した方がいいんじゃないか。
俺はそう思い、声を出そうとすると。


その言葉を掻き消す様に、チャイムが鳴った。


シンと静まり返る教室。
チャイムの音だけがうるさく鳴り響く。


担任が入って来て、疎らにクラスメートが動き出す。
祥太郎は無言のまま、自分の席に乱暴に座った。


久美の顔をふっと見ると、青ざめていて今にも泣きそうだ。


その背中を押してやると、久美は無理矢理笑顔を作る。
俺と久美が席について、すぐに授業は開始された。