…どれくらいの時間がたったんだろう。



今、人の声がした。



低くて、よく通る声。
どこかで、聞いたことがある声。



多分…いや、絶対に男の人の声。




そして、その声の持ち主は
私に向けてこう言った気がした。




「伊夏亜希… ? 」



…私は、その人が誰か分かる気がした。



確信はない。
学校には200人近くの男がいるし、
似た声の人は何人もいる。



けど、私はその人の名前を呼んだ。



私の大好きな人の名を。








「柴倉先生…? 」