「おぃ!伊夏…亜希!」


先生がトイレに近づいているのが、トイレの分厚いガラスの影からわかる。




さすがに先生は女子トイレの扉を開けられないでしょ…?





私たちの女子トイレは職員室から近い。

だから、先生が女子トイレを開けれるわけない。



でしょ?せんせ。



先生…。

先生が私のこと心配してくれてるのに…
私は先生を無視してる。


ごめんね…?


ごめんね、先生。





「 …何かあったら、垣谷先生に言うんだぞ…?」





そんな先生の優しい言葉とともに、先生の影は窓ガラスから消えた。






私はそっとドアを開けると、そこに先生はいなかった。





「う…ゔぅぅ…っ。うぁぁんっ…うゔ。 」




私、なんで泣いてるんだろ。



先生はこんな私にも温かい言葉を掛けてくれた。




もう、十分じゃん。




でも、もっと…。



もっと…私のこと見て欲しい。



俺に相談しろよって言って欲しかった。



無理矢理でも女子トイレに入って来て欲しかった。




先生の顔を見て、安心したかった……