「......二回目は......圭太が事故に遭った日。お前は眠ってる圭太の横で何度も何度も、 圭太の名前を呼んで...泣いてた。」



「......そぅ..だったんだ.....」



「.....声...かけようと思ったんだ...だけど...なんか言葉が出てこなくてさ…..」



「.......あの日。バイトから帰ってくる圭ちゃんのこと待ってた。」



話し出した私の話を静かに聞いてくれるヒロ。



「.....でも、 なかなか帰ってこなくて......やっと連絡がきたと思ったら、 病院からで....行った時にはもう....。その後、 事故のことをいろいろ聞いて....。
...圭ちゃんね、女の人と一緒にいたんだって.....」



声が震えてしまう。


するとヒロは私の頭を優しく撫でてくれる。



「...圭ちゃん、 私にはバイトだからって......なのに私じゃない他の女の人と一緒にいて、それで...それで.......
........私じゃない他の女の人の隣で、死んじゃった...」



「............」



「.....圭ちゃんはいつもどんな時も私の味方でいてくれて、 優しくて、 大好きだったっ..。私を暗闇から救い出してくれた...私のたった一つの居場所で......たった一人の大切な人だったっ...私のすべてだったの...なのにっ....」



「.....ルイ....」



そう、静かにヒロが私の名前を囁く。



「.......私....圭ちゃんに浮気されてたのかな...?ハハッ.......違うか、 私が浮気相手だったのかも....。」



笑いたくもないのになぜか冷めた笑いが溢れてきた。


するとヒロは私の頭を撫でていた手を
私の肩へと持っていき、強く私の両肩を掴んだ。



「....それは違う!」



「.......ぇ...」



「......圭太はそんなやつじゃねえ!」



「.........あんたに....あんたに何がわかるのよっ!」



なんだかわからない苛立ちが込み上げてきて、私は 思わず声を上げた。


すると、 ヒロはひとつ息をはいた。



「...圭太は いつもお前の話をしてる時、 すっげぇ幸せそうな顔して笑ってた。俺...そんな圭太になんかムカついてさ.....まぁ大切な親友が知らない女にとられたってか......お前に嫉妬してたんだな…きっと...。」



「......なに..それ......」



「....まぁ、 それで俺さ、 『お前よくそんな女と付き合ってんな、俺だったらそんな面倒なの絶対無理だわ』っていったらさ...あいつ本気で怒ったんだぜ…?『るいのことを悪く言うな! るいは俺の大切な人なんだ』...って初めて、本気で圭太に怒られた....。」



「......っ....」



「そんなやつが浮気なんてするかよ...」



「.......知ってる.....知ってるよっ」




__そう。知ってる。本当はわかってるよ。


圭ちゃんは浮気なんてしないって。


私を心から大切に想ってくれてたって。


私がそんなの一番、わかってる。



........だけど