「 ルイ。」



「........っ!?」



私は突然名前を呼ばれて意識を取り戻した。



「お前なぁ、何度も呼んでんだからな...」



そう言って煙草の煙を吐き出すヒロ。



情事の後、私は思い出に浸っていたらしい。




「........なに?」



「........もうすぐクリスマスイブだな...」



そう言ったヒロに何も言うことができなかった。




__そう。もうすぐあの出来事から3年が経つ。




「....そぅ....だね.....」



やっとでた言葉がこれだった。



するとヒロは少しの間、黙りこんだ。



「.........なぁ。......お前って......死にたいの?」



そう言ったヒロの顔はどこか真剣で
私は思わず目を背けてしまっていた。



「....なっ..何で急にそんなこと聞くの....?」



「.....急にっていうか..前から思ってた...」



「.........ぇ...?」



「初めて会った時、歩道橋の上から
...飛び降りようとしてたじゃん?」


そう言って煙草を灰皿へ押しつけたヒロ。



「....飛び降りようとしてたわけじゃなぃ....」



「....じゃぁ何?」



「......別にあんたに言う必要ない...。」



私はそう言ってヒロのいない方へと向き
散らばっている下着や服を拾って着ていく。



すると後ろから溜め息が聞こえた。



「....あっそ......じゃあさ..24日、空いてる?」



そう言ったヒロに顔を向けることなく



「......空いてない。」



そう言って私はバックを持って玄関へ向かった。



「.......帰んの?...送ってくから待ってろ。」



「..........いい。」



私はそう言ってヒロの部屋を後にした。





寒空の下、私は宛もなく歩いた。




そしていつの間にかあの歩道橋の上にきていた。



ここからは圭ちゃんが事故に遭った場所が見える。


だから私は今もここへきてしまうんだろうか...





暫くそこにいた私は私のたったひとつの居場所へと

....圭ちゃんと住んでいた家へと歩き始めた。




私はあれからもたった一人であそこに暮らしている。



引っ越そうかとも思った。


でも私の居場所はここにしかなくて...


ここから出ていけば圭ちゃんとの
思い出の全てがなくなってしまいそうで…




........だから、私は今もここにいる。