_でも幸せな時間はそう長くは続かなくて。







圭ちゃんは私を残していなくなってしまった。



もう、私の手の届かないところへ....






それは12月24日、クリスマスイブの日のことだった。




圭ちゃんは私にイブはバイトだからと
次の25日、クリスマスの日を空けといてと言った。






なのに、圭ちゃんは25日が来る前に....




24日の夜には冷たくなった圭ちゃんが
病室のベッドの上に眠っているかのようにいた。




「...圭ちゃん...ぃや...いやだよ!」



どんなに呼びかけても帰ってくることのない声。



「起きてよっ!目ぇ覚ましてよ!」



圭ちゃんの手を握っても、いつもみたいに
温かい手で握りかえしてくれることはない。



「...ずっと一緒にいてくれるって、言ったのに…約束....ちゃんと守ってよ.....私..圭ちゃんいなきゃ....生きていけないよ....お願いだから...ひとりにしないでよ...」




『 圭ちゃん 』と何度も読んでも

『 るい 』といつもの優しい笑顔で、声で、


...笑ってくれることも

...目を覚ますことはも、やっぱりなかった。






飲酒運転の車が圭ちゃんの運転する車に
もの凄い勢いで突っ込んできたそうだ。




飲酒運転をした男、圭ちゃん


そして....圭ちゃんの隣に乗っていた一人の女性




.....聖なる夜に三人の命が消えた。





その事故はTVのニュースでも取り上げられた。




ークリスマスイブに哀しい事故ー


ー飲酒運転の車に衝突され、命をおとした恋人達ー


ーこれから幸せな時間を過ごすはずだった二人にー





そう。圭ちゃんと圭ちゃんと一緒にいた人は


.....仲のよかった恋人として報道されたのだ。





クリスマスイブの日


私の大好きな圭ちゃんは


私ではない


他の女の人の隣で


この世から消えてしまったんだ。





圭ちゃんがもういないという事と同じくらいに


その事実が私の胸を深く深く、突き刺した。






好き勝手の真実でない報道だとわかっているのに。


それでもやっぱりそれに私の不安は増すばかりで。


信じているけれど、なぜ、その日、その時、


私ではない女の人といたのだろうか。



バイトも終わっている時間だったのに....








__ねぇ、圭ちゃん。


圭ちゃんは私を裏切っていたの?








....もうその真実を確かめる術もないや.....。