___久々に夢をみた。


それは圭ちゃんと一緒に暮らしてた。


私の一番、幸せだった頃の夢だった。





一生この夢を見たまま、時が止まればいいと思った。



目覚めることなく、圭ちゃんのところへ



........いきたいと強く強く思った。






でも、やっぱり朝は来てしまった。




眩しい窓へと目を細める。



.....あぁ、まだ私はここに...この世界にいるんだ。





そんなことを思いながら横を見ると
静かに眠るヒロがいた。




なんだかわからないけれど.....


圭ちゃんとヒロはどこか似ている気がした。




私はヒロに向かって


「ありがとぅ。」


そう言ってヒロの家を後にした。




そして、私はふらふら町を歩いた。




すると


「.....るい?」



聞いた覚えのある声が私の名を呼んだ。




私は声の方をみて目を見開いた。



そこには......私を産んだ親がいたから。




「......な...なんで」



「...別にあたしだってこの辺は通るわよ。」



そう言って近いてくる。



「...久しぶりね…。」



そんなことを呑気にいう目の前の女に
嫌悪感でいっぱいになる。



「...圭太さんは元気?...結婚したんでしょ?」



そういって笑う女に私は顔を歪めた。



「....なにいってんの....」



そう言う私に、女は驚いた顔をした。



「.....え?.....じゃあ、お断りしたの?」



まったく意味がわからない私は
こんな街中できっと声を荒げていただろう。



「意味わかんないこと言わないでよっ!」



するとまた耳を疑うようなことを言った。



「......だって前に、圭太さんがうちに来たのよ。
その時、『前は突然、るいさんを連れ去ってしまいすみませんでした。』って」



「....う....そ...」



「それで『今回ここに来たのは…理由があって。....るいさんと結婚させてください。』そう言って深々と頭を下げたのよ.....」



「................」



「....私は..るいが良いのなら私は構わないわ。って言ったら...『ありがとうございます。絶対るいさんを幸せにします。』そう言って笑っていたわ。....好い人ね。圭太さんは.....」



そう言って微笑む女に私は掴み掛かった。



「......やめてよ!...そんな冗談!笑えないからっ!」



すると女は私の手を自分から離させ



「何するのよ…急に。....冗談なんて言わないわよ。」



「................いつ」



「.........え?」



「........いつ来たのかって、聞いてるの!」



「...うーん...確か.....クリスマスイブだったかしら...
その夕方くらいに.......」



「........そんな....」



私はその途端、その場に崩れ落ちた。



「.........ちょっと!どうしたのっ?」



そう言って私の顔を伺う女。



「.........ニュース見てないの...?」



「.........え?」



「....圭ちゃんはその日、事故で死んじゃったんだよ…」



「.......嘘!?」



そう言って口許に手をやり驚いた顔をしている。


この人はあんまりテレビを見ないからな…
なんてどうでもいいことが頭にうかぶ。



「.....圭ちゃんっ」




私は立ち上がりおぼつかない足で必死に走った。



どこに行くかなんて考えもしないで.....


だけどやっぱりたどり着いたのは



.......あの歩道橋の上だった。