項垂れる俺に更に笑う赤崎さん。
もう、どうでもいい……
「それで、さっきの話なんですけど」
浅葱の声に顔をあげると真剣な目がぶつかった。
「葵と、今度はちゃんと会って話をしてください」
葵には、城越さんが必要なんです――ー
「……例えそうだとしても、水無瀬さんを傷つけたのには変わらないよ」
それでも一度だけでもいいから、と頼まれて迷っていると、赤崎さんが焦れったそうに立ち上がった。
「こうなったら強行突破よ!行動あるのみ!!」
いきなりカバンと領収書を持って行ってしまう姿を、ポカンとして見つめる。
「ちなつ、行くってどこに?」
こんなことには慣れているのか、颯が慌てずにその後ろ姿に問いかける。
さすが彼氏、と内心で称賛を送る。
「決まってるじゃない」
振り返った赤崎さんの顔は、怖いぐらいニッコリと笑っていた。
「葵の家よ」
………逆らえるはずがない。
浅葱に目線を向けると、その顔は少しひきつっていた。
多分、このとき同じことを思ったんだと思う。
俺は浅葱と顔を見合わせてため息をこぼした。
ファミレスを出て約十分歩いたところに水無瀬さんの家があった。
二階建ての綺麗な一軒家。
そういえば一度送っていったことがあったな、とぼんやり思い出す。
「見舞いはいいけど、一つ約束してくれ」
ここに来る間に浅葱には敬語をやめてもらって、普通に話してくれるようにしてもらった。
水無瀬さんと双子ってことは同い年だし、いつまでも敬語だと違和感があるから。
「葵には会ってもいいけど、会うときはオレもいっしょにいくこと。
それが守れるなら葵に会ってもいい」
何故か分からなかったけど、浅葱の顔が真剣だったので分かった、と素直に返事をする。


