「もちろん……葵のことは好き、というよりは他の人と比べて特別ですけど」
「そう……」
それなら、きっと大丈夫。
こんなに想ってくれる人がいるのだから。
俺は、自分のことで精一杯で、水無瀬さんのことを考えることができなかった。
それぐらい、心の小さな人間だから。
「俺じゃダメだよ。俺は水無瀬さんを傷つけた」
水無瀬さんに会う資格も、何もない。
「水無瀬さんも、きっと俺より浅葱のことを必要としてるよ。
水無瀬さんも浅葱も、お互いを想いあってる。
だから、水無瀬さんには浅葱が似合ってると思う」
これ以上、話すことなんてない。
席を立つと慌てて腕を掴まれ。
「待てよっ!確かにオレも葵もお互い特別視はしてるけど、それとこれとは別だろっ?」
敬語取れたな、なんて考えていたらそんなことを言われて。
「……は?」
どういうことだ?
お互いが特別ならそうなるのが普通じゃないのか?
「水無瀬さんも浅葱も、お互い好きなんだろう?それなら……」
「だからっ、それがおかしいって!
オレと葵はそんな関係じゃ……」
「はーい。ストーップ」
ポン、と肩に手を置かれてそちらを見ると、呆れた顔をした赤崎さんがいて。
「あなたたち、ちょっとは周りを気にしたらどうなの?」
ただでさえ顔がいいから注目されるのに、と言われて自分たちが見られていたのに気づく。
とりあえず一言謝って、また席に座り直した。
後ろの席にいた颯たちもこちらにきて、四人でテーブルを囲む。
「後ろで聞いてたんだけど……」
ジロリ、と赤崎さんに視線を向けられる。
むしろ睨んでるに近い。
「城越、昨日葵とちゃんと話した?」
質問で聞いておきながら、もう話してないことを確信しているような口ぶりで。
俺は何も言えなかった。
やっぱりね、と長いため息をこぼす姿に疑問を覚える。


