「んっ……!!」
ぐっと胸を押されるけど、離したくない。
離れたくない。
キミを、他の人のモノにしたくない。
その笑顔を、眼差しを、声を。
俺だけに向けてほしい。
自分でも嫌になるぐらいの独占欲。
でも、この感情を止めることができないんだ。
「ん……はっ……」
何度も重ねあう唇に、優しい温もりが伝わってきて。
ねぇ、キミは今何を思ってるの?
「しろ、こしく……」
唇が離れた間に聞こえた、微かに震えた声。
潤んだ瞳には、今は俺だけを映している。
それを嬉しいと思う俺は最低だ。
「ど、して……」
震える唇で小さく呟かれた疑問。
でも、その答えを言えるほど、俺は強くない。
この感情を拒絶されるのが怖いんだ。
もう少し、もう少しだけその瞳の中に俺を映していてほしくて。
俺は更に唇を重ねた。
舌を入れると、水無瀬さんの体がビクッと揺れる。
そんな反応が愛しくて。
「んんっ……ふっ、ぅ………」
舌を絡めてするキス。
時折もれる声は、俺だけが聞いてる、俺だけが知っている水無瀬さんで。
優越感のようなモノが胸の中に広がった。
もう少しだけ。
そう思っていた心は、もっとと彼女を求めて。
初めての感情を、自分で止めることができない。
夢中で舌を絡める。
止められない俺を止めたのは、水無瀬さんだった。


