激しくなった雨が城越くんを、わたしを濡らしていく。



「しろ、こしくん……?」



声をかけるとギュッと苦しいぐらいに抱きしめられて。


掴まれた右手が熱い。



カアァッ、と急激に顔が熱くなった。



ドキドキしている音が、城越くんにも聞こえてしまうんじゃないかと不安で。


でも気絶してしまいそうなぐらい、嬉しいのも本当で。



矛盾した正と負の感情にどう対処すればいいのか分からない。



「し、城越くん…っ、風邪引くから、とりあえず雨宿りしよう?」



も、もう心臓も頭も限界っ……!!


離れないと死んじゃうんじゃないかってぐらい心臓がドキドキしてる。



わたしを抱きしめていた腕の力はすぐに緩んだけど、掴まれた手の力はそのままで。



「城越くん…?」



不思議に思って見上げると、息が止まるぐらいびっくりしてしまう。


だって、城越くんの顔がすごく近くて……


綺麗な茶色の瞳の中に、自分が映っている。



どうして……?


体が、何かに囚われたみたいに動かせない。


掴まれたままの右手に、ギュッと力が入れらるのが分かって。


背中にあったはずの手の感覚が、いつの間にか遊ぶようにわたしの髪を撫でていた。



聞こえないぐらい小さく何かを囁いた城越くんは、わたしに近づいて。





「、城越く……んっ……」





わたしの唇をそっと塞いだ。