あなたの恋を描かせて





こ、声が……頭がキーンってしたよ。



「あのイケメンがっ!?
葵の?弟?しかも双子の!?」


「ちょ、ちなつちゃん、ちょっと、落ちついて……」



ガクガクと肩を揺さぶられて頭が……!


あ、ごめん、と言われて肩にかかっていた力は消えたけど。


ま、まだ世界がグラグラ揺れてる。


ちなつちゃん、思いっきりやりすぎだよ……



「それで、浅葱くんって本当に?」


「う、うん…わたしの双子の弟。二卵性だからあまり似てないけど」


「へぇ……」



まだ持っていたわたしと浅葱のプリクラを見て、そう言われてみれば雰囲気似てるわ、とちなつちゃんは呟いた。



「根本的なところを間違っていたなんて……」



それは話もややこしくなるわけね、とため息をこぼしたちなつちゃんにわたしは首を傾げた。



結局のところ、ちなつちゃんが悩んでいたことってなんだったんだろう。


浅葱のことではなかったし。


そもそもちなつちゃんは浅葱のことを知らなかったし。



……じゃあ何?



「そのこと、城越は知ってるの?」


「えっ!?」



ドキッ、とその名前を聞いただけで顔が熱くなった。


は、反応しすぎだよ、わたし……



「な、なんで城越くんなの?」


「だって好きなんでしょ?城越のこと」



ぽろ、とわたしの手から箸が落ちた。



「な、なんで……!」



わたしも昨日気づいたばかりなのに、どうしてちなつちゃんが知って……!?



「おかしいと思ったのよ。葵は絶対に城越のこと好きだと思ってたから」


「な…えぇっ!!?」



はっ!!


そういえば浅葱にもわたしは分かりやすいって言われてた。


もしかして、わたしが気づいていなかっただけで、わたしはずっと前から城越くんに恋してたの?


それをちなつちゃんは知っていたってこと??



か、かなり恥ずかしいっ……!!