浅葱のこと……いつも隣にいるのが当たり前だと思ってたから。
いざこうやって考えると……なんか恥ずかしい。
「わたしにとって浅葱は、コインの表と裏みたいな感じかな」
他の言葉で言うと、鏡で映る自分と映った自分とか右手と左手?
うん、そんな感じ。
「つまり、もう一人の違う自分というか……
感情を共有できる特別な相手だと思う」
浅葱はずっと、わたしの中で特別だった。
双子だからってわけではないと思うけど、他の姉弟と比べて仲は良いと思うし。
あ、でもお互いの感情がボンヤリ分かるのは双子だからなのかも。
でも、浅葱に対してと城越くんに対しての"特別"は違う。
上手く説明はできないけど。
浅葱も好きな子にこんな感情を持ってるのかな。
「葵、好きなの?」
「浅葱のこと?もちろん大好きだよ?」
わたしの大切な、自慢の弟だもん。
嫌いなわけがない。
そう、と言ったきり黙ってしまうちなつちゃんにちょっと不安になる。
どうして、ちなつちゃんは浅葱のことを気にするんだろう。
あれ、まずちなつちゃんと浅葱って何か接点あるのかな。
わたしが知る限りないけど……今度浅葱に聞いてみよう。
「そういえば、昨日浅葱とプリクラ撮ったんだよ」
一応持ってきていた財布に入れたままなのを思い出してちなつちゃんに見せる。
「ちょっとぐらい笑えばいいのにね」
全部普通な顔だから、イケメンが勿体ないことになってるよ。
いつもこんな顔で撮ってるのかな。
「他にも昨日はいっしょに買い物してたんだけど、その買い物っていうのが………あ」
わす、れてた。
「、あぁーーーっ!!!」
「な、何よ?」
いきなり大きな声を出すわたしに、ちなつちゃんは目を丸くする。