「ふぁ……」



落ちそうになる瞼と戦いながら、どうにか起きて学校に行く準備をする。


それはどうやら浅葱も同じだったらしく。


朝お互いの顔を見て苦笑してしまった。



「あ、葵それつけてくの?」


「これ?もちろん」



だって浅葱がせっかくわたしに買ってくれたものだし。


ちょっとちなつちゃんに自慢したいなぁ、なんて思ったりもして。



「似合わない、かな?」


「いや、よく似合ってると思うよ」


「本当?」



身内贔屓だと分かっていても嬉しいよ。



城越くん、気づいてくれるかな。


なんて、ちょっと期待してしまう自分にびっくりする。


こういうのって恋の効果なのかな。


ちょっとしたことでも気にしてしまう。


面倒だけど、全然面倒じゃない。



「かわいいって、思ってくれるかな……」



小さく呟いたその言葉に、浅葱は複雑そうな顔をしたけど、わたしは気づかなかった。



朝から浅葱に何度も心配されながらも、大丈夫だと言い聞かせてわたしは学校に向かった。



「おはよう」


「あ、おはよ……」


「…??」



玄関でちなつちゃんを見つけて声をかけたけど……


いつもと、ちなつちゃんが違う。


わたしの気のせい?


でも、どこか態度が違うような……



「そういえば葵…」


「うん?」


「あ、いや、その……」



……やっぱり、どこかヘン。



「ちなつちゃん?」


「そ、そのヘアピンどうしたの?」


「これ?」



気づいてくれたんだ……


そのことが嬉しくて、笑みがこぼれる。



「昨日ね、買ってもらったの」



かわいいでしょ?と笑うわたしを見て、ちなつちゃんは複雑そうな顔をした。