あなたの恋を描かせて




次の日、学校の玄関で靴を履き替えていると、後ろからぽん、と背中を叩かれた。



「おはよ」


「あ、おはよう、ちなつちゃん」



振り返ると同じクラスの赤崎(あかさき) ちなつちゃんがいた。



「昨日の雨凄かったよね。葵は大丈夫だった?」


「うん」



城越くんの傘に入れてもらったし……



「ちなつちゃんは?大丈夫だった?」


「まぁね」



お互いよかったね、と言いながらいっしょに教室へ向かう。


中に入ると、最近よく話す山中 明乃(やまなか あけの)ちゃんがわたしに向かってきた。



な、何?


突然のことで思わずびくっと肩が揺れた。



「聞いたよ葵ちゃん!!」


「な、何を……?」


「昨日城越くんと相合い傘して帰ったって!!」


「えぇっ!?」



ま、まさか、見られてたの!?


でも、あれは体育館から校舎まで送ってもらっただけだよね?


とぼけてもムダだよ!!とニヤニヤして笑う明乃ちゃん。


心なしかちなつちゃんまでニヤニヤしているような……じゃなくて!



「た、確かに傘には入れてもらったけど、それは体育館から校舎までであって……」



いっしょに帰ったなんてそんなことは決して……!!



「え。そうなの?」



きょとん、とした顔になる明乃ちゃんにわたしは必死に頷く。



「なーんだ。つまらないなぁ〜」



つ、つまらないって……


少し残念そうな明乃ちゃんに苦笑い。



でも誤解が解けてよかった……


明乃ちゃんは噂好きだから、もしかしたらあの誤解だらけの噂が流れちゃうところだったよ。