「びっくりしたよ。浅葱からメールなんて」


「オレだって用事があればメールぐらいするよ」


「ふふ、そうだね」



むしろ用事があるときしかメール来ないもんな。


だから珍しいんだけど。


くすり、と笑うと浅葱は不思議そうな目をわたしに向けた。



浅葱とわたしは双子で、浅葱はわたしの双子の弟。


二卵性だから顔はあまり似ていないけど、黒い髪や目の色、肌の色や雰囲気はそっくりだね、ってよく言われる。



「それで、わたしに用事って?」



そう言うと、浅葱は少し顔を赤くして、買い物、と呟いた。



「買い物?」



意外、というかそれだけ?


買い物なら他の人といっしょでもよかったんじゃ……


きょとん、としたわたしに更に浅葱は顔を赤くした。



「その、母さんが、今日は葵が早く学校終わるからって言ってて……
お、女心なら葵の方が分かるんじゃないかって……」



恥ずかしそうに言う浅葱にピンときてしまった。



「もしかして……好きな子へのプレゼント?」


「、大きな声出すなよっ」



ごめんと謝って浅葱を見ると、顔が真っ赤になっていて。


初めて見る意外な姿に笑みがこぼれた。



浅葱から詳しいことを聞くと、どうやらその子は明日が誕生日らしく、プレゼントといっしょに告白するつもり、らしい。



「そいつ、何が欲しいとか言わないし、オレも何買えばいいか分からなくて……」



それでお母さんに相談したところ、わたしの方がいいんじゃない?ということで。


なるほどなるほど……



「よし、じゃあわたしのオススメの雑貨店行ってみよ?」



大事な弟のためだもん。


わたしを頼ってくれた浅葱に、たまにはお姉さんらしいところを見せないと!


サンキュ、と小さく言った浅葱の手を引いて、わたしは雑貨店に向かった。