「そ、そんなのいいですよ!」



慌てて城越くんの背中を追いかける。



は、速い……


やっぱり手足長いから歩くスピードも違うのかな。


って、今は違う!


これ以上城越くんに気を使わせるなんて、そんなの駄目……!



「わたしなら一人でも大丈夫ですから。無理しないでください!」



ぴた、といきなり止まった城越くんに、わたしは止まれずにぶつかってしまう。



あ、城越くんいい匂いがする……


って!!


わたしは何を考えて……



「ご、ごめんなさいっ」



ぶつかってしまったことも、なんだかヘンなことを思ってしまったのも。


どちらもいたたまれなくて、恥ずかしくて。


慌てて離れるけど、やっぱり恥ずかしくてカァッと顔に熱があがってしまう。



「水無瀬さん」


「はい?」



名前を呼ばれて顔をあげると城越くんが真っ直ぐにわたしを見ていて、体が固まった。


それとは対照的に心臓の鼓動はどんどん速くなる。



そんなわたしを見て城越くんはふっと笑った。



「今、水無瀬さん一人で帰らせて、何かあったらそっちの方が嫌だからさ。
送らせてよ」


「あ、う……」



城越くん……それはズルいですよ。


女の子なら誰でも嬉しいと思うような台詞……


そこまで言われて、断れないのがわたしで。



「じゃあ、宜しくお願いします…」



頭を下げたあとに見た城越くんの顔は、少し微笑んでいて。


わたしの心臓が、また大きく音をたてた。



そのまま胸のドキドキを感じながら、わたしは城越くんに家まで送ってもらった。