あなたの恋を描かせて





あぁ、もう…なんで……っ


なんでこんなことを考えちゃうのっ。



他の女の子と一緒にいてほしくないなんて。


わたしがそんなことを言う資格も権利もないのに。


自分勝手な考えに嫌になる。


確かに、わたしは城越くんのことが好きだけど……でも、それだけ。


そもそも、わたしと城越くんが釣り合うわけがない。


特別かわいいわけじゃないし……わたしよりかわいい子なんていっぱいいるし。



でも………



「想うだけなら、いいよね……?」



それなら、城越くんにも迷惑かけないし……



うぅ……我ながら情けない。


結局は、この今の関係が壊れてしまうのが怖いだけなのかも。


だから、今日城越くんに会うのも断った。


わたしが意識して、ギクシャクするのが嫌だったから。



「自分勝手、だなぁ……」



そのくせ、会いたい、なんて考えちゃうし。


自分でも矛盾しすぎだと思う。



でも、



「城越くん……」



やっぱり、会いたいな。


ジワリ、とよく分からないけど視界が滲んで、目を閉じると。





「何?」




――――え?



聞き覚えのある声にぱち、と目を開ける。


反射的に動かした視線の先には、城越くんが立っていた。



「どう、してここに……?」



驚きに目を見開くわたしに対して、城越くんは普段と変わらない様子で近づいてきた。


距離が近づくにつれて早まる心臓の鼓動。



咄嗟に、逃げなきゃ、と頭に浮かんだ。



知られたくない……


わたしが城越くんのことを好きだって知られたら、城越くんはわたしから離れていってしまうかもしれない。


さっきまであんなに会いたいと願っていたのに、今は彼から逃げたいなんて。


つくづく自分勝手だと思った。