あなたの恋を描かせて







「じゃあ葵、またあとで」


「うん」



手を振って教室を出ていったちなつちゃんに、わたしも笑顔で振り返した。



お昼、どうしようかな。


明乃ちゃんは彼氏さんと食べるって言ってたし。


うーん……



「あそこに、行こうかな」



今日は天気もいいし、お弁当を食べるにはもってこいだよね。


うん、そうしよう。



「時間があったら絵も描こうかな」



ちょっとワクワクとした気持ちで、わたしはお弁当とスケッチブックを持ってあそこ―――わたしのお気に入りの場所へ向かった。








「やっぱりいい天気」



ここに来て正解だったな。


久しぶりに来たこの空間に自然と頬が綻ぶ。


お弁当も食べ終わって、ちょっとだけぼーっとするこの時間が心地よい。



まだ時間はあるよね。


そばに置いてあったスケッチブックに手を伸ばす。


絵を描こうと思っていたけど、偶然開いたページに思わず手がとまる。


そのページは、城越くんが描かれたところで。



今、城越くんは何をしているんだろう。


ちなつちゃんと楠くんが一緒にお昼を食べているはずだから、もしかして一人、かな。


それとも誰か他の人と一緒?


城越くん、人気だもんね……



「女の子と、食べてたりして……」



はっ!!


わたし、何考えてるんだろう……!!


でも………


一度考えてしまったら、その考えは頭から離れなくなってしまって。


次々と嫌なことが頭に浮かんでくる。


だって、城越くんはかっこいいし……城越くんのことを好きな子だってたくさんいると思う。


現に、クラスのかわいい子が好きって言っていたような……