朝、無駄に緊張してしまってご飯があまり喉を通らなかった……
心配する浅葱になんとか笑顔を浮かべて大丈夫と言ったけど、やっぱり心配そうで。
これじゃ、どっちが年上か分からないよ……
双子だけど、わたしの方がお姉さんのはずなのに。
カバンを持って学校に向かう。
浅葱にはあぁ言ったとはいえ、昨日からずっと頭の中ではあの日のことが……
うぅ……忘れようと思えば思うほど鮮明になってしまう映像に、思わず頬が熱くなる。
軽いとは言えない足取りの中、わたしは学校に到着した。
変わらない、いつもの学校。
変わったことといえばわたしの気持ち、かな。
前よりずっと緊張してる。
はぁ、と気持ちを落ち着けるように息を吐いて靴を履き替える。
城越くんに会えるとは限らないのに、否応なしにドキドキする胸。
ついでに無意識のうちに目は城越くんを探していたみたいで。
わたし、城越くんに会いたいんだろうか……
会っても、どう接すればいいのか分からないのに。
いろいろ考えている間に教室についていて、中に入るとクラスメートからおはよう、と挨拶をされた。
「葵ちゃんっ」
「あ、明乃ちゃん。おはよう」
笑顔のわたしに、明乃ちゃんはほっとしたような表情を見せる。
「葵ちゃん。もう体調は大丈夫?
ちなつちゃんから聞いてびっくりしたよ〜」
「うん、もう大丈夫。
心配かけちゃってごめんね」
「友だちの心配するなんて当たり前でしょ」
ニコッと笑う明乃ちゃんに、わたしも笑い返す。
しばらく話したあと、明乃ちゃんは他の友だちに呼ばれていった。
それと入れ替わるようにちなつちゃんがわたしのもとへくる。