じんわりと、葵の言葉が胸に染み渡る。



「ひっく……好き…大好き……だから、そばにいて、離れないで……
ずっとずっと、ここにいて……」



顔を埋めて小さく震える葵が、自分の望みを精一杯に伝える葵が。



心から愛しいと思った。




「葵」



さら、と髪をすくように頭を撫でてあげると、葵はおずおずと顔をあげた。


その顔にどうしようもなく胸がいっぱいになる。


自分でも不思議なほど自然に体が動いて、俺は葵の額に触れるだけのキスを落とした。


少し体を震わせたあと、びっくりしたように目を開く姿にちょっと笑いがこぼれる。


そのまま、まだ濡れている瞼や頬にも出来るだけ優しくキスをしていった。


真っ直ぐ葵を見つめると、葵は不安そうに見つめ返す。



「俺も、葵が好きだよ」



ずっと伝えたいと思ってた言葉。


伝える資格なんてないと思ってたけど、やっぱり諦められなくて。


もっと緊張するかと思ってたのに、驚くほどスルリと言葉が出てきた。



「ほん、と……?」


「本当。ずっと、葵と一緒にいるから」


「ん…うん……!」



腰に回されていた腕が俺に向かって伸ばされたかと思ったら、その腕は首に絡まる。



「好きっ……大好き…大好き………!!」



耳元を擽る柔らかい声に照れながら、俺も、と言うと絡まる腕に力が入った。


そっと抱きしめると葵の体温が伝わってきて。


そのことを嬉しいと思うあたり、改めて葵が好きなんだと実感した。



「おーい。日向ー?」



控えめに聞こえたノックと颯の声で、今の状況を思い出す。



……そういえば後ろに颯たちいるんだった。


今さらながらに恥ずかしい。


それでも心配してるだろうから、と葵をなんとかベッドに運んで、浅葱たちを中に入れた。


離れたくないと駄々をこねていた葵だけど、しばらくすると電池がきれたみたいにこてんと眠る葵に思わずみんなが苦笑する。