君とあたしと携帯電話



「な…っんで…」

それしか出てこなかった。わからなかった。

「何が⁇」

そう言って首を傾げる瑠稀。手はまだあたしの頬に触れたまま。
いつもより優しい顔。
いつもより優しい声。
好き。

「なん…で、いるっ…の⁇」

あたしは必死に言葉を紡ぎ出した。

「李雨が走って行ったから」

「…ぇ⁇」

意味が分からなくて首を傾げると、やっとおさまってきた涙を瑠稀が指で拭う。

「李雨が…授業始まるのに、走って行って、真奈さんが辛そうな顔してたから」

真奈…ホントいい奴…

「李雨最近おかしいし…」

「おかしいのは、…瑠稀じゃん」

おかしいし、の後に何か言うみたいだったけどあたしは遮った、