「な…っんで…」
それしか出てこなかった。わからなかった。
「何が⁇」
そう言って首を傾げる瑠稀。手はまだあたしの頬に触れたまま。
いつもより優しい顔。
いつもより優しい声。
好き。
「なん…で、いるっ…の⁇」
あたしは必死に言葉を紡ぎ出した。
「李雨が走って行ったから」
「…ぇ⁇」
意味が分からなくて首を傾げると、やっとおさまってきた涙を瑠稀が指で拭う。
「李雨が…授業始まるのに、走って行って、真奈さんが辛そうな顔してたから」
真奈…ホントいい奴…
「李雨最近おかしいし…」
「おかしいのは、…瑠稀じゃん」
おかしいし、の後に何か言うみたいだったけどあたしは遮った、

