君とあたしと携帯電話



一週間は頑張るつもりだったけど、限界は三日目に来た。

移動教室だったからあたしは真奈と2人で瑠稀の教室の前を通った。

その時、瑠稀が男友達と楽しそうに笑ってるのが見えた。女の子も2人いた。

苦しかった。

あたしは瑠稀が足りなくて、不安で、苦しいのに。瑠稀はあたしがいなくても全然平気そうで。

苦しくて、悔しかった。

「ぁ、ぁあ〜、真奈先行ってて。忘れ物しちゃった…みたい…」

そう言って、急いで背中を向けて走り出した。背中を向けた瞬間涙が溢れて来た。良かった、見られなくて。
途中、あたしの名前を呼ぶ真奈の声が聞こえたけど、振り向かなかった。振り向けなかった。

誰もいない教室にたどり着いて自分の机に急いで伏せた。声を抑えるために。

本当にやだ。
なんでこうなったんだろう。
なんでこんな苦しんだろう。

やだやだやだやだやだ。

「…っ…ぅっ」

李雨抑えろ。泣くな。廊下に響く。

必死に抑えた。なのに…

「…っ李雨…」

突然聞こえた大好きな声に顔を上げた。その姿を確認するとまた涙が溢れた。

「李雨、泣いてる」

瑠稀が近づいてあたしの頬に触れた。あたしの大好きな指があたしに触れてる。あたしの大好きな声が、顔が、存在が、全てが…目の前にある…。