合宿が終わった翌週、今日から授業が始まる。
1年生の間は選択授業は、芸術(美術、音楽、書道)の時間くらいで、あとの時間は教室でみんな合同。
高校生初の授業は数学Ⅰの授業だった。
担当の先生は優しそうで安心。
私は数学が全くと言っていいほどに出来ない。
「じゃあ、このクラス初の出席取るぞー」
先生が名簿を持つ。
それを頬杖を付きながら眺めた。
順に名前を呼んで行き、あるところでそれが止まった。
「ん?あれ?なんて読むんだ?とき…あめ?」
「しぐれ、です!」
少し照れながら…そして苦笑いで訂正する時雨くん。
「……え?」
思わずそんな間抜けな声が出た。
だって、今訂正した〝時雨くん〟は、私が今の今まで〝椎名くん〟だと思っていた人だったから。
私は椎名くんと時雨くんを間違えて反対に覚えていたみたいだった。
二人に対する申し訳なさを抱きつつも
私が色が白くて小柄でどちらかというと可愛いが
似合うと思っていたのが〝椎名くん〟だと思っていたけど、ほんとは時雨くんで。
それが何だかうれしかった。
