グラウンドを横切ると、時雨くんの姿が鮮明に目の中に飛び込んできてバクバクと心臓がなる。


『何でそんなにコソコソ歩いてんの?』


グラウンドを直視できないというか、照れくさいというか、とにかくドキドキバクバクしている私は灯の陰に隠れて歩いている。


『和心がグラウンド通りたいっていったんじゃん』


情けない姿に呆れている灯に言い返す言葉もないまま、ちらちらとそっちを見るけど、やっぱり緊張する。


その時、


「っ」


一瞬。ほんの一瞬だけ時雨くんと目が合った気がした。

ボールをパスして顔を上げた瞬間、目が合った。



間違いかもしれないし、自惚れたらダメだけど嬉しすぎて

「灯!!灯っあっかりー!!」


灯に飛びついて更に呆れられるほどに語ったのは言うまでもない。