孤独な姫と溺愛王子





「やめっ・・・」



やめて!と叫ぼうとした瞬間だった。いきなり手を掴んでいた男が視界から消えた。



「え・・・」




急な出来事に、何が起こったのか理解出来なかった。脳がゆっくりと覚醒し始めた時には男2人は既に道路に倒れていた。






「・・・おい」




その光景を呆然として見ていると背後から声をかけられた。声の聞こえた方に振り向くとそこには恐ろしい程顔が整った男がいた。


かっこいいというより美しいという表現の方があっている。スッと通った鼻筋に切れ長の目、薄い形の良い唇。日本人とは思えないくらいの堀の深さ。

いや、もしかしたら何処かの国の血を引いているのかもしれない。

そう思ったのは彼の瞳の色が青みがかった灰色だったからだ。




「おい」


「あ、はい」




心地いいバリトンボイスが耳に響く。なんだろう、この声すごく安心する。




「あ、助けてくれてありがとうございました」



そういえばこの人が助けてくれたんだった。見惚れていた所為でお礼をするのを忘れるところだった。









「なぁ、俺の相手をしろ」