「お客様、注文は…」 「結構です。」 こんな時に注文を聞いてくる、 店員を遮って私は言った。 店員も、引き下がる。 「なんで?」 あ。 聞いてくれるんだ。 聞いてくれるんだ。 でも、気持ちは、奈々って人なんでしょう? 「…疲れただけ。」 もしも、 “奈々って人のことがスキなんでしょう?” そう私が言ったら… 祐は奈々と付き合えなくなる。 優しい人だから。 それは、私が分かってるから。 「分かったよ。」