「お席は、こちらです。」



店内で、案内された席。


テラス席で、外の景色がよく見える。



「キレイじゃん。結衣、いい店知ってんな!」



無邪気に笑う彼を見て、

一瞬別れを躊躇したけれど、一瞬だけ。




「…そう?ありがとう。」




精一杯の笑顔で言った。


今の、精一杯。




「どれにしよっかなーーっ!?」




この雰囲気が心地いい。




だけど。



だけど。




だけど、言わなければならない。



これが、彼のためだから。




ううん。



私のためだから。