った。
「どうしたんだよ『橘』? 何で飛ばないの?」
「放っといて!」
彼女は柱につかまっている。
「俺が一緒に飛ぼうか?」
「絶対無理。私高い所が苦手なの」
そう言って彼女はその場に座り込む。そして俺はそんな彼女を下に連れて行く。
「高い所が苦手だったんなら言ってくれればよかったのに」
「言えるわけ無いでしょ! 特にあんたにだけは弱みをら握られるのだけは絶対に嫌だっ
たから……」
「ふ~ん」
俺は頭の上に両手を組んで答える。
「何よ?」
「いや、可愛い所もあるんだな~っと思って」
「放っといて」
「にしし」
俺は笑って答える。
「それよりあんたの望みをいいなさいよ」
「望み? 何で?」
「さっき約束したでしょ。早く飛んだ方の言う事を何でも言う事を聞くって」
「あっ、忘れてた。ん~、でもまっ、いいや。だって『橘』高い所苦ってだったんだろ?
それだったらこんな勝負無効だしな」
「それじゃ、私の気が進まないの。いいからさっさとあんたの望みをいいなさい! どう
せ言う事は決まってんだろうけど……」
「う~んそうだな。それじゃ、好きなものは好き、嫌いなものは嫌いって言ってくれよ。
俺の前では強がらず何でも正直に話してくれよ」
「へっ? それだけ?」
「それだけだけど」
彼女はキョトンとしている。
「あんたの事だからてっきり『俺と付き合ってくれ』とか言うのかと思った」
「ははは、そんなわけないじゃん! 力ずくで言う事をきかせても面白くないじゃん。
『橘』が心から俺と付き合いたいと思わないと意味ねえしな」
「へえ、あんたって割と考えてたんだ」
「まあな」
「ちょっと見直したかな」
彼女は小声で答える。
「ん? 何か言った?」
「別に何も……」
彼女はそっぽを向く。
「あっ、なあ、最後にあれ乗らねえ?」
俺は観覧車を指差す。
「却下。私もう疲れたから帰る」
「え~! 何だよそれ。『白金』のメモ全然約に立たねえじゃん」
「はい、はい拗(す)ねないの。今度又来た時乗ればいいでしょ?」
「しょうがねえな。それじゃ帰るか」
俺は頭をかきながら答える。
「あんた気づいてないでしょ?」
「何が?」
「これだ。又誘ってって言ってんの」
「……えっ~! ま、マジで?」
「大声出さないで! 頭に響くんだから」
「そ、それじゃ、又誘うよ」
俺は目を輝かせて答える。
「うん、待ってる。それじゃまたね」
「あっ、ちょっと待って」
そう言って彼女が帰ろうとした時俺は彼女を引きとめる。
「自宅まで送るよ」
「いいって、子供じゃないんだから」
「駄目だって、危ないんだから。俺が責任を持って家まで送るよ」
「はいはい、分かりました。それじゃ、よろしくね」
「おう、任せとけ!」
そう言って俺は彼女を送った。
「私の家、もうそこだからここでいいよ」
「そっか」
「それじゃ又、明日学校でね」
「えっ、あ、うん……バイバイ」
そう言って彼女と別れた。
「よし、これで一歩彼女に近づけたよな?」
そして俺も自宅に帰った。
翌日、俺はいつものように学校の花壇から『花』を抜いていると、いきりなり後頭部に
激痛が走る。
「っ痛てえ~」
そして俺が後ろを振り向くと、鬼の形相でこちらを見ている男子生徒が仁王立ちで立っ
ている。
「何すんだよ? 痛てえな!」
「お前が犯人だったのか?」
「何の話だよ?」
「最近学校の花壇の花が減ってるので様子を見に来てみれば案の定だ!」
「あはは……」
俺は笑って誤魔化す。
「誤魔化すな!」
男子生徒は怒っている。
「だからって殴る事ねえだろ。殴る事」
俺は両手で頭を抱えている。
「人がせっかく丹精込めて育てた花を勝手に抜くからそうなる」
「大体お前誰なんだよ?」
「俺か? 俺は園芸部部長の『田中』だ」
「あっ、そう」
そう言って俺はその場を立ち去ろうとする。
「おい、待て」
そう言って『田中』は俺の後ろの襟(えり)を持ち上げる。
「何すんだよ? 降ろせよ~」
俺はその場でジタバタする。
「お前のせいで花壇の花が大分なくなったんだ!」
「それがどうしたってんだよ?」
「責任を取れ!」
「責任取れって俺に何しろっていうんだよ?」
「ん!?」
そう言って『田中』は俺に一枚の紙切れを渡す。
「何だこれ?」
それは園芸部の入部届けだった。
「何で俺が入部しなきゃいけないんだよ?」
「お前が花を勝手に、しかも大量に抜いたからだ」
「いいだろ? こんなに一杯あるんだから少しくらい貰っても?」
ゴン! 俺は又、『田中』に頭を叩かれる。
「だから、叩くなって」
「お前が変な事を言うからだ。ここの花壇に咲いてる花は皆、園芸部が種から育てた大切
な花だ。その大切な花をお前が勝手に抜いたんだから、お前が花を育てるのが道理だろ。
大体何で、大量に花が欲しかったんだ?」
「にぃ」
俺は笑って事情を話す。
「つまりこういう事か? お前は好きな子に花をプレゼントして、その子に喜んでもらう
ために、花を抜いてたって事か?」
「おう、そうだぜ」
「はあ~」
『田中』はため息をつく。
「ほれ!」
そして『田中』は一つの花の種を俺に渡す。
「何だこれ?」
「それは『朝顔』の種だ! まあ初心者用の花だから育てるのも簡単だろう。すでに咲い
てる花を上げるより、種から自分で愛情を込めて咲かせた花をあげる方が、気持もこもっ
てるし、なにより相手に喜んでもらえるぞ」
「でも俺、水やんの忘れちまうかもしんねしな~」
「そういう時には花に自分の好きな名前でもつけてみたらどうだ?」
「おぉ、それなら忘れねえや」
そして俺は『朝顔』の花に『橘』の名前をつける事にした。
「あんがと」
そして俺は貰った『朝顔』の種をポケットに入れる。
「それじゃな」
「おい、朝学校来た時と、帰る時に花に水をやるのを忘れるなよ」
「ほい、ほい~」
そして俺はその場を去った。俺は強制的に園芸部に入部させられ、花の世話をさせられ
る事になった。
その後、俺はいつものように彼女に花をプレゼントした。
そして昼休みになり、俺は『白金』のもとに向かった。
「なあ『白金』! 又、皆でWデートしようぜ?」
「はあ? お前何言ってんだよ?」
『白金』は呆れる。
「だって『橘』がさ、前のデートの後に、又誘ってくれって言ったんだよ! だからさ、
又一緒に皆でデートしようぜ?」
「お前な~、『橘』が又誘って欲しいって言ったのは、今度はお前と二人っきりで、デー
トしたいって事だよ」
『白金』は額に手を当てて、呆れる。
「えっ? そうなのか? 全然気づかなかった」
「そこまで鈍感だと『橘』に同情するよ全く」
「でもさ、でもさ、もしかしたら『橘』もまだ俺と二人っきりで、デートするのは、まだ
早いって思ってるかもしれねえだろ?」
「グッ……鋭い……」
「だからさ、今度も又、四人で遊びに行こうぜ? その後、又抜け出したらいいじゃん」
「あのな~、お前俺の事全然考えてないだろ? 俺は彼女とはあんまり会えないんだ!
だから、お前と一緒にデートしたら、彼女と一緒に過ごせる時間がなくなるんだ! 少し
は俺のことも考えてくれ?」
『白金』は少し怒ってる。
「んで、今度いつ行く?」
「あ~、駄目だ~。全然分かってくれない……。こうなったら……」
『白金』は呆れる。
「言いかよく聞け? 『橘』と仲良くなりたいんだったら、俺とばっかり遊んでちゃ駄目
だ!」
「何で?」
俺は『白金』に聞き返す。
「俺は『橘』の事何も知らない!」
「俺だってよく知らねえよ」
「そこでだ、『橘』と仲良くなるには、まず『橘』の事をよく知らなきゃ駄目だ!」
「どうすんだよ?」
俺は『白金』に尋ねる。
「『橘』の事を知るには、ずばり、『橘』の事をよく知ってる人物に聞くのが一番だ!」
「それは分かるけどよ……それって誰だ?」
「それは、ずばり『橘』の友達だ! まずは『橘』の友達と仲良くなって、『橘』の好み
等を聞ければ、もっと仲良くなれるぞ!」
「おぉー!」
「まあ、それで駄目なら仕方ない! 俺が責任を持ってお前らと一緒にWデートしてやる
よ!」
「おう、分かった!」
「それで、今週末にでもデートに誘うのか?」
「うんにゃ、今は金がないから、来月お小遣いを貰ってから誘うよ!」
「今じゃねえのかよ!」
『白金』は突っ込む!
「それじゃ、それまでに『橘』の友達と仲良くなって、『橘』の事を聞いとけよ?」
「ほい、ほ~い!」
「まっ、困った事があったら、俺になんでも相談にこいよ! そん時は相談に乗ってやる
から」
「あぁ、分かった」
そして昼休みが終わるチャイムが鳴り、俺達は教室に戻った。
そしてその日の放課後。俺は『橘』の事をよく知るために、いつも『橘』と一緒に行動
している女生徒のもとへ向かった。
「なあ、ちょっといいか?」
「『仁科』君だよね? 何? 私に何か用?」
「用って程じゃねえけどよ、ちょっと聞きたい事があるんだ。えっ~と……」
「あっ、私『花咲(はなさき) 香織(かおり)』っていうの。よろしくね。それで私に聞きたい事って?」
「『花咲』ってさ、いつも『橘』と一緒にいるけど、仲いいの?」
「えっ? あっ、うん。『愛』とは小学校から付き合いだからね」
「へえ~、そうなんだ。それじゃさ、『橘』の好みとかも知ってんの?」
「うん、知ってるよ! あっ、分かった。『愛』の事、知りたいんでしょ?」
「おぉ、よく分かったな」
俺は感心する。
「まあね」
『花咲』は得意げに答える。
「で、『橘』の事、色々教えてくれよ?」
「う~ん? どうしようかな~?」
『花咲』は考え込む。
「なっ、いいだろ? 教えてくれよ~?」
俺は駄々をこねる。
「そうねえ~? 『愛』は全然男の人に興味がないからな~。少しは男の人に慣れなきゃ
いけないしな~。それに『仁科』君って馬鹿っぽいけど、悪い人じゃなさそうだし、何よ
り『愛』に毎日花をプレゼントしたりして、『愛』の事、本気で考えてくれるからな~」
『花咲』は小声で喋り、考え込む。
「ん? 何か言った?」
「ううん、こっちの話。いいよ。『愛』の事教えてあげる」
「本当か? やっり~」
俺はガッツポーズして喜ぶ。
「あっ、でも私にだって教えられない情報もあるけど、それでいいよね?」
「おう、それでいいぜ」
「『愛』の事教えてあげる代わりに、私が困った事があった時、私の事も助けてよね?」
『花咲』は俺に交換条件を持ち出す。
「あぁ、それでいいぜ」
俺は笑顔で了承する。
「ところで『橘』ってさ、どういうものが好きかな?」
「それってプレゼントって事?」
「そう! 俺さ、毎日花を贈ってるけどさ、本当に喜んでもらえてるかどうか分かんねえ
しな~」
「あぁ。『仁科』君が毎日あげてる花? 『愛』は『仁科』君から貰った花、一本一本大
切に育ててるよ。『仁科』君にはどう言ったかは知らないけど、『愛』、花を貰って凄っ
ごく喜んでたよ」
「へへ、そっか……」
俺は笑顔で喜ぶ。
「じゃあさ、じゃあさ、『橘』の好きそうな場所って知らない? 俺この前遊園地に連れ
っていったんだけど、あんまし喜んでくれなかったしな。いいところあったら教えてくれ
よ?」
「う~ん? そうね……『愛』が好きな物は可愛いものかな」
「可愛いもの?」
「うん、ほらあの子、子猫とか子犬とか小動物系が好きなの」
「小動物か……」
「どうしたんだよ『橘』? 何で飛ばないの?」
「放っといて!」
彼女は柱につかまっている。
「俺が一緒に飛ぼうか?」
「絶対無理。私高い所が苦手なの」
そう言って彼女はその場に座り込む。そして俺はそんな彼女を下に連れて行く。
「高い所が苦手だったんなら言ってくれればよかったのに」
「言えるわけ無いでしょ! 特にあんたにだけは弱みをら握られるのだけは絶対に嫌だっ
たから……」
「ふ~ん」
俺は頭の上に両手を組んで答える。
「何よ?」
「いや、可愛い所もあるんだな~っと思って」
「放っといて」
「にしし」
俺は笑って答える。
「それよりあんたの望みをいいなさいよ」
「望み? 何で?」
「さっき約束したでしょ。早く飛んだ方の言う事を何でも言う事を聞くって」
「あっ、忘れてた。ん~、でもまっ、いいや。だって『橘』高い所苦ってだったんだろ?
それだったらこんな勝負無効だしな」
「それじゃ、私の気が進まないの。いいからさっさとあんたの望みをいいなさい! どう
せ言う事は決まってんだろうけど……」
「う~んそうだな。それじゃ、好きなものは好き、嫌いなものは嫌いって言ってくれよ。
俺の前では強がらず何でも正直に話してくれよ」
「へっ? それだけ?」
「それだけだけど」
彼女はキョトンとしている。
「あんたの事だからてっきり『俺と付き合ってくれ』とか言うのかと思った」
「ははは、そんなわけないじゃん! 力ずくで言う事をきかせても面白くないじゃん。
『橘』が心から俺と付き合いたいと思わないと意味ねえしな」
「へえ、あんたって割と考えてたんだ」
「まあな」
「ちょっと見直したかな」
彼女は小声で答える。
「ん? 何か言った?」
「別に何も……」
彼女はそっぽを向く。
「あっ、なあ、最後にあれ乗らねえ?」
俺は観覧車を指差す。
「却下。私もう疲れたから帰る」
「え~! 何だよそれ。『白金』のメモ全然約に立たねえじゃん」
「はい、はい拗(す)ねないの。今度又来た時乗ればいいでしょ?」
「しょうがねえな。それじゃ帰るか」
俺は頭をかきながら答える。
「あんた気づいてないでしょ?」
「何が?」
「これだ。又誘ってって言ってんの」
「……えっ~! ま、マジで?」
「大声出さないで! 頭に響くんだから」
「そ、それじゃ、又誘うよ」
俺は目を輝かせて答える。
「うん、待ってる。それじゃまたね」
「あっ、ちょっと待って」
そう言って彼女が帰ろうとした時俺は彼女を引きとめる。
「自宅まで送るよ」
「いいって、子供じゃないんだから」
「駄目だって、危ないんだから。俺が責任を持って家まで送るよ」
「はいはい、分かりました。それじゃ、よろしくね」
「おう、任せとけ!」
そう言って俺は彼女を送った。
「私の家、もうそこだからここでいいよ」
「そっか」
「それじゃ又、明日学校でね」
「えっ、あ、うん……バイバイ」
そう言って彼女と別れた。
「よし、これで一歩彼女に近づけたよな?」
そして俺も自宅に帰った。
翌日、俺はいつものように学校の花壇から『花』を抜いていると、いきりなり後頭部に
激痛が走る。
「っ痛てえ~」
そして俺が後ろを振り向くと、鬼の形相でこちらを見ている男子生徒が仁王立ちで立っ
ている。
「何すんだよ? 痛てえな!」
「お前が犯人だったのか?」
「何の話だよ?」
「最近学校の花壇の花が減ってるので様子を見に来てみれば案の定だ!」
「あはは……」
俺は笑って誤魔化す。
「誤魔化すな!」
男子生徒は怒っている。
「だからって殴る事ねえだろ。殴る事」
俺は両手で頭を抱えている。
「人がせっかく丹精込めて育てた花を勝手に抜くからそうなる」
「大体お前誰なんだよ?」
「俺か? 俺は園芸部部長の『田中』だ」
「あっ、そう」
そう言って俺はその場を立ち去ろうとする。
「おい、待て」
そう言って『田中』は俺の後ろの襟(えり)を持ち上げる。
「何すんだよ? 降ろせよ~」
俺はその場でジタバタする。
「お前のせいで花壇の花が大分なくなったんだ!」
「それがどうしたってんだよ?」
「責任を取れ!」
「責任取れって俺に何しろっていうんだよ?」
「ん!?」
そう言って『田中』は俺に一枚の紙切れを渡す。
「何だこれ?」
それは園芸部の入部届けだった。
「何で俺が入部しなきゃいけないんだよ?」
「お前が花を勝手に、しかも大量に抜いたからだ」
「いいだろ? こんなに一杯あるんだから少しくらい貰っても?」
ゴン! 俺は又、『田中』に頭を叩かれる。
「だから、叩くなって」
「お前が変な事を言うからだ。ここの花壇に咲いてる花は皆、園芸部が種から育てた大切
な花だ。その大切な花をお前が勝手に抜いたんだから、お前が花を育てるのが道理だろ。
大体何で、大量に花が欲しかったんだ?」
「にぃ」
俺は笑って事情を話す。
「つまりこういう事か? お前は好きな子に花をプレゼントして、その子に喜んでもらう
ために、花を抜いてたって事か?」
「おう、そうだぜ」
「はあ~」
『田中』はため息をつく。
「ほれ!」
そして『田中』は一つの花の種を俺に渡す。
「何だこれ?」
「それは『朝顔』の種だ! まあ初心者用の花だから育てるのも簡単だろう。すでに咲い
てる花を上げるより、種から自分で愛情を込めて咲かせた花をあげる方が、気持もこもっ
てるし、なにより相手に喜んでもらえるぞ」
「でも俺、水やんの忘れちまうかもしんねしな~」
「そういう時には花に自分の好きな名前でもつけてみたらどうだ?」
「おぉ、それなら忘れねえや」
そして俺は『朝顔』の花に『橘』の名前をつける事にした。
「あんがと」
そして俺は貰った『朝顔』の種をポケットに入れる。
「それじゃな」
「おい、朝学校来た時と、帰る時に花に水をやるのを忘れるなよ」
「ほい、ほい~」
そして俺はその場を去った。俺は強制的に園芸部に入部させられ、花の世話をさせられ
る事になった。
その後、俺はいつものように彼女に花をプレゼントした。
そして昼休みになり、俺は『白金』のもとに向かった。
「なあ『白金』! 又、皆でWデートしようぜ?」
「はあ? お前何言ってんだよ?」
『白金』は呆れる。
「だって『橘』がさ、前のデートの後に、又誘ってくれって言ったんだよ! だからさ、
又一緒に皆でデートしようぜ?」
「お前な~、『橘』が又誘って欲しいって言ったのは、今度はお前と二人っきりで、デー
トしたいって事だよ」
『白金』は額に手を当てて、呆れる。
「えっ? そうなのか? 全然気づかなかった」
「そこまで鈍感だと『橘』に同情するよ全く」
「でもさ、でもさ、もしかしたら『橘』もまだ俺と二人っきりで、デートするのは、まだ
早いって思ってるかもしれねえだろ?」
「グッ……鋭い……」
「だからさ、今度も又、四人で遊びに行こうぜ? その後、又抜け出したらいいじゃん」
「あのな~、お前俺の事全然考えてないだろ? 俺は彼女とはあんまり会えないんだ!
だから、お前と一緒にデートしたら、彼女と一緒に過ごせる時間がなくなるんだ! 少し
は俺のことも考えてくれ?」
『白金』は少し怒ってる。
「んで、今度いつ行く?」
「あ~、駄目だ~。全然分かってくれない……。こうなったら……」
『白金』は呆れる。
「言いかよく聞け? 『橘』と仲良くなりたいんだったら、俺とばっかり遊んでちゃ駄目
だ!」
「何で?」
俺は『白金』に聞き返す。
「俺は『橘』の事何も知らない!」
「俺だってよく知らねえよ」
「そこでだ、『橘』と仲良くなるには、まず『橘』の事をよく知らなきゃ駄目だ!」
「どうすんだよ?」
俺は『白金』に尋ねる。
「『橘』の事を知るには、ずばり、『橘』の事をよく知ってる人物に聞くのが一番だ!」
「それは分かるけどよ……それって誰だ?」
「それは、ずばり『橘』の友達だ! まずは『橘』の友達と仲良くなって、『橘』の好み
等を聞ければ、もっと仲良くなれるぞ!」
「おぉー!」
「まあ、それで駄目なら仕方ない! 俺が責任を持ってお前らと一緒にWデートしてやる
よ!」
「おう、分かった!」
「それで、今週末にでもデートに誘うのか?」
「うんにゃ、今は金がないから、来月お小遣いを貰ってから誘うよ!」
「今じゃねえのかよ!」
『白金』は突っ込む!
「それじゃ、それまでに『橘』の友達と仲良くなって、『橘』の事を聞いとけよ?」
「ほい、ほ~い!」
「まっ、困った事があったら、俺になんでも相談にこいよ! そん時は相談に乗ってやる
から」
「あぁ、分かった」
そして昼休みが終わるチャイムが鳴り、俺達は教室に戻った。
そしてその日の放課後。俺は『橘』の事をよく知るために、いつも『橘』と一緒に行動
している女生徒のもとへ向かった。
「なあ、ちょっといいか?」
「『仁科』君だよね? 何? 私に何か用?」
「用って程じゃねえけどよ、ちょっと聞きたい事があるんだ。えっ~と……」
「あっ、私『花咲(はなさき) 香織(かおり)』っていうの。よろしくね。それで私に聞きたい事って?」
「『花咲』ってさ、いつも『橘』と一緒にいるけど、仲いいの?」
「えっ? あっ、うん。『愛』とは小学校から付き合いだからね」
「へえ~、そうなんだ。それじゃさ、『橘』の好みとかも知ってんの?」
「うん、知ってるよ! あっ、分かった。『愛』の事、知りたいんでしょ?」
「おぉ、よく分かったな」
俺は感心する。
「まあね」
『花咲』は得意げに答える。
「で、『橘』の事、色々教えてくれよ?」
「う~ん? どうしようかな~?」
『花咲』は考え込む。
「なっ、いいだろ? 教えてくれよ~?」
俺は駄々をこねる。
「そうねえ~? 『愛』は全然男の人に興味がないからな~。少しは男の人に慣れなきゃ
いけないしな~。それに『仁科』君って馬鹿っぽいけど、悪い人じゃなさそうだし、何よ
り『愛』に毎日花をプレゼントしたりして、『愛』の事、本気で考えてくれるからな~」
『花咲』は小声で喋り、考え込む。
「ん? 何か言った?」
「ううん、こっちの話。いいよ。『愛』の事教えてあげる」
「本当か? やっり~」
俺はガッツポーズして喜ぶ。
「あっ、でも私にだって教えられない情報もあるけど、それでいいよね?」
「おう、それでいいぜ」
「『愛』の事教えてあげる代わりに、私が困った事があった時、私の事も助けてよね?」
『花咲』は俺に交換条件を持ち出す。
「あぁ、それでいいぜ」
俺は笑顔で了承する。
「ところで『橘』ってさ、どういうものが好きかな?」
「それってプレゼントって事?」
「そう! 俺さ、毎日花を贈ってるけどさ、本当に喜んでもらえてるかどうか分かんねえ
しな~」
「あぁ。『仁科』君が毎日あげてる花? 『愛』は『仁科』君から貰った花、一本一本大
切に育ててるよ。『仁科』君にはどう言ったかは知らないけど、『愛』、花を貰って凄っ
ごく喜んでたよ」
「へへ、そっか……」
俺は笑顔で喜ぶ。
「じゃあさ、じゃあさ、『橘』の好きそうな場所って知らない? 俺この前遊園地に連れ
っていったんだけど、あんまし喜んでくれなかったしな。いいところあったら教えてくれ
よ?」
「う~ん? そうね……『愛』が好きな物は可愛いものかな」
「可愛いもの?」
「うん、ほらあの子、子猫とか子犬とか小動物系が好きなの」
「小動物か……」
