名前を教えてあげる。

美緒の身体は、順を強烈に欲していた。


「美緒。ここに来て」


ソファに座り直した順がジーンズの太腿を示す。

「うん」と頷き、美緒は順の膝に横座りした。


「順の子供になったみたい」


顔を寄せてクスクス笑い合う。
順が唇を近づけて来て、小鳥みたいな軽いキスをする。

何度も何度も。段々、順が本気になって、美緒の背中に廻された腕の力がきつくなってきた。


「美緒、メチャクチャ愛してる……こんなに誰かを好きになったのって初めてだよ…」


目を潤ませ熱に浮かされたように言う。


それに応え、美緒も順の首にしっかりと腕を回す。

その肉体の逞しさに美緒は顔も知らない父親を重ね合わせ、甘えてみたくなった。


「…ね、私、お姫様抱っこされてみたい。それであっちにつれていって」

ベッドを指差す。


「お姫様抱っこ?いいよ」


順が笑いながら頷いて、そう答えた次の瞬間。


「きゃっ!」


意外に高く抱えあげられたことに悲鳴をあげてしまう。
美緒の身体は横抱きにされ、無重力のように宙に浮いていた。


「すごい、空に浮かんでるみたい!」


美緒がはしゃいで言うと、

「しっかり捕まってて」

順はふざけて、美緒を抱いたまま部屋の中をあちこち歩き出した。