名前を教えてあげる。



美緒の横にどさり、と座り、順は美緒に身体を向けた。
美緒の顎の下に指を添え、唇を求める。


「……まだ、したくない…」


美緒は顔を背けた。


「美緒…」


順はほんの一瞬、残念そうな顔をしたが、すぐに気を取り直して笑顔になる。


「時間はいっぱいあるから。
テレビでも観ようか?あ、映画のビデオもあるって。結構新しいの揃ってる。すげえ。色々あるよ。

あ、弁当とかピザの宅配もある。コンビニで買ってこなくても、ここで調達出来るんだあ」


小さなコーヒー・テーブルに置かれた様々なパンフレットを手に、順は無邪気に言う。


「へえ。見せて」


美緒も手を延ばした。


「映画ってどのチャンネルでやってるんだろう?」

順がリモコンをかざした途端。


『あああ、イク!』


突然、室内に大音量の女の喘ぎ声が響き渡った。

60インチの画面に全裸で両脚を大きく開いた女の姿が映し出された。
女の白い乳房は、浅黒い男の手で弄ばれている。


「きゃあ!やだ!」


あまりに唐突で赤裸々な映像に、美緒は悲鳴を上げた。


それは、順が戯れで撮る美緒の写真と同じくらい衝撃的だった。

美緒の叫び声に驚いた順の手からリモコンが滑り落ち、ソファの下に入り込んでしまった。