20年振りくらいに思い切って食べたら、案外美味しかった。
ーーそれは、倉橋のとこの烏骨鶏(ウコッケイ)が産んだやつだよ。
五郎はうどんを啜りながら言った。
食べた後、マニキュアを落とし爪を短く切った。
白地に色とりどりの金平糖を散らしたようなネイルは、美緒のお気に入りだったけれど、不潔になっては意味がない。
美緒が夕飯にカレーを作る、申し出ると、五郎は嬉しそうに頷いた。
人参やじゃがいも、玉ねぎは土間にむしろを掛けて保管してあったし、豚のこまぎれ肉は、冷凍庫に入っているから、買うものはカレーのルーだけだった。
カレーのルーはいとも簡単に発見出来た。でも、恵理奈の運動靴なんてあるわけがなかった。
「サンダルだったら、あるんだけどなあ。子供用はないねえ。こんなんじゃしょうがないわねえ」
雅子は、わざわざ男物のゴムサンダルと婦人用のつっかけを持ってきて、困り果てたように言う。
「あっ、雅子さん、私、そのサンダル欲しい!」
美緒は、ベージュに小さなリボンがついたペタンコサンダルを指差した。
「五郎さんのゴムサンダルを借りて母屋と離れを行き来していたから。それ、ちょうどいい!いくら?」

