「そこはねえ、夏、子供達が川遊びするとこなの。
川は場所によってとんでもなく深くなるけん、絶対子供達だけでは遊んだらダメなんだ。流されたりしたら、大変だけんね。
恵理奈ちゃん分かった?
1人で川に行ったら絶対いけんよ?
山で雨が降ったりすると急に水が増えたりして、危ないけんね」
少し怖い顔を作っていう雅子に、恵理奈は真剣な顔をして「分かりました…」と答えた。
そんな恵理奈に雅子はぷっと吹き出す。
「恵理奈ちゃんはすごいね!由美加奈は、そんな丁寧な言い方、生まれてこのかた、したことないよお!」
あははと、声を立てて恵理奈の頭を撫でた。
それにしても『倉橋商店』はまったく商売気がなかった。
店先には、雑種の白い中型犬が繋がれて寝ているし(この犬は、老犬で美緒達が店に入るのをちらっと見ただけでなんの反応もしなかった)、店内は自然光だけで薄暗い。
ケーキ屋のようなガラスのショーケースがあって、なぜかカップ麺やレトルトの麻婆豆腐の素、袋詰めされた砂糖や塩などが間を開けて陳列されていた。

