名前を教えてあげる。



「ええ、そうよ。しっかり見たって言ってたわ」


「いやあっ!」


クリスティンの言葉に美緒は、顔を覆った。
死んでしまいたいくらいの羞恥心のあまり、気が遠くなる。

いつの間にか、涙がこぼれ出していた。


「違う……私が自分で撮ったんじゃない…順に撮りたいってお願いされて、絶対すぐ消すからって約束して……」


涙を手の甲で拭いながら、美緒がイヤイヤをするように身を捩った時。


「まあ、あなたはいつも、何もかも順のせいにするのね!」


美緒が顔をあげると、クリスティンの背後に、彼女の肩に両手を置いた険しい顔の春香がいつの間にか立っていた。


「子供が出来たのも、家出をしたのも、全部順のせい。
被害者面するのもいい加減にしてちょうだい!
だいたい、順がそんな変態じみた真似、するわけがないでしょ!あなたが自分で撮ったにきまってるわ!」


「おばさま……」


憎しみの感情をこれほどまでに、人から強くぶつけられたことはなかった。

相手は目上の大人で、弁解することも許されない。


少なくとも、美緒がそうしているように、順の母も義理の娘になる自分のことを理解しようと努力してくれているのではないかと思っていた。

それは完全な勘違いだったのだと、思い知らされた。