名前を教えてあげる。



「普通はおばあちゃんとかがいて、いろいろ育児のコツなんか教えてくれるだろ?
美緒には、そういうのがないんだから、保健師にアドバイスもらおうよ?」


順が宥めるように言うのに、美緒は返事をしなかった。


順が「普通は」といったことに簡単に傷付く。

(どうせ私は三田村学園だよ……)
と捻くれてしまう。



「赤ちゃんのお世話も大切ですけど、パパはなるべく、ママのケアもしてあげて下さいね?」


やっと待合室に現れた若い保健師は、ありきたりなことを言った後、にっこりと笑った。


目元がパッチリとするアイメイクにピンク色のリキッドルージュ。


高校時代、間柴真由子と時々、学校帰りにファストフード店に寄ってハンバーガーを食べた後、メイクの練習をしたことを美緒は思い出す。

今は化粧どころかリップクリームすら塗る余裕がなくて、唇はガサガサにひび割れてしまった。

今日だって、顔を洗って化粧水を付けただけのすっぴんだ。


段々、美緒は彼女の胸元が気になって仕方なくなってきた。

豊満な谷間を強調する為に、わざと胸元の開いたシャツに小さいサイズの白衣の着ている気がした。