「すっげえ外さみぃ。今日は早番だったから、仕事の帰りに買ってきたんだ。
『初めての出産Q&A』を参考にね」
順は上機嫌で言う。
首にぐるぐる巻きにしている黒とグレーの縞のマフラーは、美緒が編んだものだ。
卒業式の翌週から宅急便の仕分けのアルバイトを始めた順は、自転車通勤にそれを愛用していた。
「何、買ってきたの?」
美緒が福袋を覗くみたいにして、中を見る。
「もう準備しておかないとね。
こないだの検診でも言われたろ?
もういつ生まれてもおかしくないですって。あとはヒロが出産祝いに買ってくれるバギーだけ」
そういいながら、順は白や黄色のロンパースや下着、哺乳瓶、新生児用のオムツ、数々のベビー用品をテーブルに所狭しと並べ始めた。
「お〜すげえな。こんなに買ってきたのか」
ヒロがまたあの笑い方をする。
「…あれっ?」
美緒は頓狂な声を出した。
中にピンク色のベビー服が1枚混じっていた。
「何、ピンクなんか買ってきちゃったの?男か女かわかんないのに?」
唇を尖らせて言う。
「男だったら無駄になっちゃうじゃん!ゼロ歳から女装させる気なの?」

