「順……推薦入試受けるんだってね?
頑張ってね。順ならどんな夢でも絶対に実現出来るよ」
「….うちの母親が」
順が美緒の目を真っ直ぐに見る。声が掠れていた。
「美緒を侮辱するようなこと言っちゃってごめん。朝になったら、携帯電話、俺のも美緒の分も止められちまって連絡とれねえ状態だし」
ーー会話が全然噛み合っていないよ……
美緒は思う。
「正直、最初は無理だと思ったんだ。けど……よく考えて、産んでもいい、と思ったんだ。
親が援助してくれないなら、大学行くのやめて、俺が働けばいいんだって。
それを言ったら、父親が激怒してさ」
『汚れた人形』だった園長室での記憶が蘇り、美緒は俯いた。
「…怒られるの当たり前だよ…順だって大学の為にずっと頑張ってたんじゃん…」
「でもさ、医者になって人を救いたいと思っている俺がお腹の子供を見殺しにするのは、おかしいだろ?そう思わね?
生まれてくる権利を奪う権利は誰にもないはずだ。
しかも美緒と俺が愛し合った結果、出来た子だ。
なんの罪もない子だぜ?
俺たちが守ってやらなきゃ誰が守ってやるんだよ?」
「……分かってるけど」
「じゃ、訊くけど。美緒は産みたくないの?」
「…産むよ」
「え?」

