怪研探偵 稲葉の黙示録

side.つぐみ

「…んで、その日は解散したわ。」

愛菜香はふぅっと息をついて、お茶を飲んだ。私はチラッと隼世を盗み見た。

「………。」

(考えてる、考えてる♪)

隼世は考えたり推理する時、下を向いてあごに手を置いて腕組みする。難しいほど、ウキウキするらしくて、今も少し口元を緩めながら考えてる。

(隼世の好きなショコラ・ドゥ・ショコラを持ってこよう。)

隼世はチョコが大好きで特にショコラ・ドゥ・ショコラというチョコ菓子がお気に入りだ。

「おかーさーん、ショコラ・ドゥ・ショコラ
余ってないー?」

私の家はマンションになっていて、1・2階がお店。3・4・5階が私の家になっている。そろそろ7時になる。お店の閉店時間は8時だから、お客さんも少ない。

「余ってはないわよー。あれ、人気なんだもの。」

「えぇ~!」

(隼世に食べさせたかったのになー…。)

「…余ってないわよ、作ってはあるけどね。」

「やった!出来立ていただきまーす。」

「どうせ、隼世くんにあげるんでしょ?ミルクセーキも持ってってあげなさい。」

「よくお分かりで。」

隼世はお店には出してないけど、小さい頃から私の家で作るミルクセーキが大好きなのだ。

「隼世、はい。」

「おお。…おっ!ショコラ・ドゥ・ショコラじゃん!ミルクセーキもあるし。」

隼世は目を輝かせてかぶりついた。私と愛菜香も食べる。ショコラ・ドゥ・ショコラもエリーヌの塩大福と並ぶ人気商品だ。パイ生地とクロワッサン生地を絶妙に合わせたものにビターなチョコを間に重ねて挟み、その生地に包んだこれまたビターなチョコクリームが入っている。大人にも子供にも大好評だ。

「……なぁ愛菜香、今夜空いてるか?」

「空いてるけど、もしかしてあの屋敷に行くの?!」

「あぁ、あとその屋敷に行った5人も呼んでくれ。」

「わ、私も行く!」

「あん?だってお前、幽霊もの苦手じゃねーか。」

「だ、だってー、…。」

(他の女の子もいるのに…。)

「いいじゃない、私もつぐみが一緒だと心強いわ。あ、でも崎谷さんに惚れないでよー?大垣君といい感じなんだから。」

「バーカ、誰が惚れっかよ。そんな女に。」

「………。」

(ますます行かなくちゃ。)