side.愛菜香
ギー…
大垣君を先頭に私たちは屋敷に入った。中は真っ暗で1m先も見えない位だった。
「わっ、真っ暗ねー!懐中電灯持ってくれば良かったかしら。」
「そうね。」
その瞬間、古井さんの顔がいきなりはっきり見えた。
「きゃっ!」
「ジャーン。俺が準備してない訳ないだろ?」
「もうっ、出すなら普通に出しなさいよ!」
「悪いって。それより、吉国呼ぼうぜ。いるだろうからさ。」
私はできるだけ大きな声で吉国君の名前を呼んだ。
「吉国くーん!いるのー?」
ガタッ…
「え?」
吉国君を呼んだすぐ後に、二階から物音が聞こえてきた。
「吉国だよ、きっと。おーい!吉国ー!」
………
「何にも聞こえないね…。」
「とりあえず、行ってみようか。」
私たちは右側の階段を上って、二階へ向かった。
ギー…
ギー…
「さっきから、ギーギーいってるね。」
「そりゃ10年も経ってるんだから当たり前だよ。ほこりだって、…あれ?」
鹿沼君は階段の手すりを触って、言葉を途切らせた。
「どうしたの?」
「ほこりついてないんだ。」
「ホントだ。なんで?」
「さあ。」
「吉国が拭き取ったんだろ。あいつ、綺麗好きだしさ。」
大垣君が懐中電灯を私たちに当てて言った。二階に上がりきると、長くて広い廊下にいくつもの部屋が並んでいた。
「うわ、すごー…。」
「古いけど、すごく素敵かも。」
中身は洋風で、一階の玄関ホールより内装がとても凝っていた。
「吉国君、いないわね。」
「どっかの部屋にでもいるんじゃないか?」
「吉国くーん!どこにいるのー?」
……ガタガタッ…
「また物音だ…。吉国ー!物音立ててないで、返事しろよー!」
………
返事はなかった。
「…ねぇ、吉国君ホントにこの屋敷にいるのかな?」
「「「「え!?」」」」
4人が一斉にこっちを見た。
「じゃ、じゃあさっきの物音はなんなのよ…。」
「吉国がいないってことは、…じゃあ…。」
ガタガタガタガタッ!!
「きゃああああ!!」
「うわぁぁぁ!」
私たちは無我夢中で階段を駆け下りた。
「うあっ!」
鹿沼君が階段を踏み外して、下まで転げ落ちてしまった。
「鹿沼君!!」
私は急いで鹿沼君の所へ行って安否を確かめた。
「鹿沼君どこ?」
「雪森さん!こっち!」
走って下りてきてくれた大垣君が鹿沼君の声のする方向を照らしてくれた。
「鹿沼君、大丈夫?」
「平気、平気!俺、丈夫だしねっ。」
「そっか、良かった。」
「ずいぶん遠くまで転んだな。お前、ほこりまみれだぞ。」
確かに鹿沼君の服はほこりがたくさんついていた。
「うっわー、ホントだ。」
「ちょっと!!なに、のんびりしてるのよ!!」
ガタッ……
「「「「「!!」」」」」
「い、今、女の人が…っ。」
………助けて…
「!!」
髪の長い女の人が階段の上の方でこちらを見下ろしていた。すぐに消えてしまったが、明らかに見えた。
「雪森っ、鹿沼っ、行くぞ!!」
「………。」
「鹿沼君?」
「え?あ、あぁ。今、行くよ。」
大垣君が叫んで玄関へ向かった。
私も玄関へ走ると、大垣君が扉の前で立ち止まっていた。
「え、崎谷?」
大垣君の前には崎谷さんがいた。
「みんな、どうしたの?顔色悪いけど…。」
「ごめん、由衣子。そこどいて。」
「う、うん。」
私たちは屋敷の庭に出て、体を休ませた。
「それで?何があったの?」
↑崎谷 由衣子(さきたに ゆいこ)
古井さんの親友
「……俺、幽霊って初めて見たかも。」
「え?」
「…私も。」
「あなたたちも見たの?」
「それって崎谷も?」
「えぇ。屋敷に着いて、少し屋敷を見上げてたら、あそこの窓から女の人がこっちを見てて…。」
崎谷さんが指差した窓を見て、私たちは再びぞっとした。
「ホント…いたんだな。この屋敷…。」
「うん…、鹿沼君大丈夫?顔色悪いよ?」
鹿沼君はびっくりする位青ざめていた。私もかなり驚いたけど、ここまではならない。何か様子がおかしい。
「大丈夫かよ?でも、マジ驚いたな。あの白い女の人には…。」
「…声。」
「どうしたのよ、鹿沼。声?」
鹿沼君が私たちを見て驚いた表情をした。
「どうしたって…、お前ら聞こえなかったのか?!」
「や、やめてよ。もういいよ…怖いから。」
崎谷さんが怯えて、鹿沼君の話を止めようとする。怖がる崎谷さんを大垣君が励ました。
「大丈夫だよ。…それで鹿沼。何が聞こえたんだよ?」
「…吉国の、声が。」
「吉国の?でも、呼んだ時返事なかったじゃない。冗談言わないでよ。」
古井さんは庭の塀に寄りかかって、鼻で笑った。
「冗談じゃないよ、『助けて』って…マジで聞こえてきて…。」
「そ、そんな!じゃあ、吉国君っ…。」
崎谷さんはさらに体をこわばらせて、落ち着きを無くしていった。よほど、幽霊が、苦手らしく、さっきから大垣君のとなりに寄り添った形になっている。大垣君もまんざらでもないみたいで、崎谷さんの肩を抱いていた。
「……何よ…っ。」
その光景を見た古井さんは舌打ちをして、屋敷の外へ向かって歩いていった。
「!佳加、帰るのか?じゃ、俺も…。」
それを聞いた古井さんは表情を険しくして、振り返った。
「いいわよ!由衣子を送ってあげなさいよ!」
「佳加?どうしたの?一緒に帰ろうよ。」
古井さんは崎谷さんをしばらく見つめた(睨んだ?)あと、足早に帰っていった。
「…なんなんだよ、佳加のやつ。」
「あとで話してみるよ。私たちも今日は解散しましょ。」
崎谷さんの一言でみんなが帰路についていった。だけど、鹿沼君だけが一歩も動かなくて、仕方なく私は声をかけた。
「鹿沼君!帰ろー?」
鹿沼君は聞こえていないようで、しばらくの間反応しなかった。何度か声をかけると、ビクッと体を震わせてようやく私を見た。
「…え、ああ。あ、えっと…どうしたの?」
「それは私の台詞です!ほんとにどうしたの?…!汗すごいかいてる!」
近くに寄ると、鹿沼君は驚くほど服まで汗びっしょりだった。
「だ、大丈夫。ありがとね、バイバイ…。」
ギー…
大垣君を先頭に私たちは屋敷に入った。中は真っ暗で1m先も見えない位だった。
「わっ、真っ暗ねー!懐中電灯持ってくれば良かったかしら。」
「そうね。」
その瞬間、古井さんの顔がいきなりはっきり見えた。
「きゃっ!」
「ジャーン。俺が準備してない訳ないだろ?」
「もうっ、出すなら普通に出しなさいよ!」
「悪いって。それより、吉国呼ぼうぜ。いるだろうからさ。」
私はできるだけ大きな声で吉国君の名前を呼んだ。
「吉国くーん!いるのー?」
ガタッ…
「え?」
吉国君を呼んだすぐ後に、二階から物音が聞こえてきた。
「吉国だよ、きっと。おーい!吉国ー!」
………
「何にも聞こえないね…。」
「とりあえず、行ってみようか。」
私たちは右側の階段を上って、二階へ向かった。
ギー…
ギー…
「さっきから、ギーギーいってるね。」
「そりゃ10年も経ってるんだから当たり前だよ。ほこりだって、…あれ?」
鹿沼君は階段の手すりを触って、言葉を途切らせた。
「どうしたの?」
「ほこりついてないんだ。」
「ホントだ。なんで?」
「さあ。」
「吉国が拭き取ったんだろ。あいつ、綺麗好きだしさ。」
大垣君が懐中電灯を私たちに当てて言った。二階に上がりきると、長くて広い廊下にいくつもの部屋が並んでいた。
「うわ、すごー…。」
「古いけど、すごく素敵かも。」
中身は洋風で、一階の玄関ホールより内装がとても凝っていた。
「吉国君、いないわね。」
「どっかの部屋にでもいるんじゃないか?」
「吉国くーん!どこにいるのー?」
……ガタガタッ…
「また物音だ…。吉国ー!物音立ててないで、返事しろよー!」
………
返事はなかった。
「…ねぇ、吉国君ホントにこの屋敷にいるのかな?」
「「「「え!?」」」」
4人が一斉にこっちを見た。
「じゃ、じゃあさっきの物音はなんなのよ…。」
「吉国がいないってことは、…じゃあ…。」
ガタガタガタガタッ!!
「きゃああああ!!」
「うわぁぁぁ!」
私たちは無我夢中で階段を駆け下りた。
「うあっ!」
鹿沼君が階段を踏み外して、下まで転げ落ちてしまった。
「鹿沼君!!」
私は急いで鹿沼君の所へ行って安否を確かめた。
「鹿沼君どこ?」
「雪森さん!こっち!」
走って下りてきてくれた大垣君が鹿沼君の声のする方向を照らしてくれた。
「鹿沼君、大丈夫?」
「平気、平気!俺、丈夫だしねっ。」
「そっか、良かった。」
「ずいぶん遠くまで転んだな。お前、ほこりまみれだぞ。」
確かに鹿沼君の服はほこりがたくさんついていた。
「うっわー、ホントだ。」
「ちょっと!!なに、のんびりしてるのよ!!」
ガタッ……
「「「「「!!」」」」」
「い、今、女の人が…っ。」
………助けて…
「!!」
髪の長い女の人が階段の上の方でこちらを見下ろしていた。すぐに消えてしまったが、明らかに見えた。
「雪森っ、鹿沼っ、行くぞ!!」
「………。」
「鹿沼君?」
「え?あ、あぁ。今、行くよ。」
大垣君が叫んで玄関へ向かった。
私も玄関へ走ると、大垣君が扉の前で立ち止まっていた。
「え、崎谷?」
大垣君の前には崎谷さんがいた。
「みんな、どうしたの?顔色悪いけど…。」
「ごめん、由衣子。そこどいて。」
「う、うん。」
私たちは屋敷の庭に出て、体を休ませた。
「それで?何があったの?」
↑崎谷 由衣子(さきたに ゆいこ)
古井さんの親友
「……俺、幽霊って初めて見たかも。」
「え?」
「…私も。」
「あなたたちも見たの?」
「それって崎谷も?」
「えぇ。屋敷に着いて、少し屋敷を見上げてたら、あそこの窓から女の人がこっちを見てて…。」
崎谷さんが指差した窓を見て、私たちは再びぞっとした。
「ホント…いたんだな。この屋敷…。」
「うん…、鹿沼君大丈夫?顔色悪いよ?」
鹿沼君はびっくりする位青ざめていた。私もかなり驚いたけど、ここまではならない。何か様子がおかしい。
「大丈夫かよ?でも、マジ驚いたな。あの白い女の人には…。」
「…声。」
「どうしたのよ、鹿沼。声?」
鹿沼君が私たちを見て驚いた表情をした。
「どうしたって…、お前ら聞こえなかったのか?!」
「や、やめてよ。もういいよ…怖いから。」
崎谷さんが怯えて、鹿沼君の話を止めようとする。怖がる崎谷さんを大垣君が励ました。
「大丈夫だよ。…それで鹿沼。何が聞こえたんだよ?」
「…吉国の、声が。」
「吉国の?でも、呼んだ時返事なかったじゃない。冗談言わないでよ。」
古井さんは庭の塀に寄りかかって、鼻で笑った。
「冗談じゃないよ、『助けて』って…マジで聞こえてきて…。」
「そ、そんな!じゃあ、吉国君っ…。」
崎谷さんはさらに体をこわばらせて、落ち着きを無くしていった。よほど、幽霊が、苦手らしく、さっきから大垣君のとなりに寄り添った形になっている。大垣君もまんざらでもないみたいで、崎谷さんの肩を抱いていた。
「……何よ…っ。」
その光景を見た古井さんは舌打ちをして、屋敷の外へ向かって歩いていった。
「!佳加、帰るのか?じゃ、俺も…。」
それを聞いた古井さんは表情を険しくして、振り返った。
「いいわよ!由衣子を送ってあげなさいよ!」
「佳加?どうしたの?一緒に帰ろうよ。」
古井さんは崎谷さんをしばらく見つめた(睨んだ?)あと、足早に帰っていった。
「…なんなんだよ、佳加のやつ。」
「あとで話してみるよ。私たちも今日は解散しましょ。」
崎谷さんの一言でみんなが帰路についていった。だけど、鹿沼君だけが一歩も動かなくて、仕方なく私は声をかけた。
「鹿沼君!帰ろー?」
鹿沼君は聞こえていないようで、しばらくの間反応しなかった。何度か声をかけると、ビクッと体を震わせてようやく私を見た。
「…え、ああ。あ、えっと…どうしたの?」
「それは私の台詞です!ほんとにどうしたの?…!汗すごいかいてる!」
近くに寄ると、鹿沼君は驚くほど服まで汗びっしょりだった。
「だ、大丈夫。ありがとね、バイバイ…。」



