熱の時に必要なのは、まず体温計、それから熱冷まシートと消化のいい食べ物と長ネギと……。
違う。長ネギはいらないんだった。
「体温計と熱冷まシート持ってきますね」
確かまだ残りがあったはずだ。
大家さんが微かに顎を引いたのを確認して、私は部屋を出た。
大家さんの家を出て、隣のわが家の鍵を開ける。
足早に中へ入り冷蔵庫からシートとを入手。
戸棚から体温計も取り、準備は万端だ。
再び大家さんの寝室に舞い戻った私は、彼の荒い息を聞きながら、体温を計り終わるのを待つ。
ふと、枕元にメモを見つけた。
ノートの1ページを引きちぎった物のようで、何かの文字が書かれている。
手に取って見てみると、ボールペンによる殴り書きだった。
「ゆ……か、海、羽衣…フェスタ…?」
小説のネタか何かかな。
羽衣フェスタにはあえて触れず、メモを元の場所に戻す。
