敷いたままとは、流石モノグサ。
私はリビングに戻り、半ば意識の飛びかけている大家さんに声をかける。
「大家さん、ちょっとあなたでかすぎて運べないので、自力で寝室に行ってもらえませんかね。肩は貸しますから」
目尻がほんのり朱に染まった瞳を重たく持ち上げて、大家さんがゆるりと頷いた。
重力に逆らって体を起こし、私はその片腕を自分の肩にかけた。
彼の肩くらいしか身長がないのに、少し無茶だったかな……。
伝わってくる重みに足腰を踏ん張って耐え、どうにかこうにか寝室に入る。
そのまま倒れるように布団に転がった大家さんは、仰向けになった事でいくらか呼吸が楽になったのか、少し楽そうな表情になった。
