昔からバカだったなあ、と思い出に思いを馳せていると、大家さんの手がぴくりと動いた。
はっと我に返り、何の役にも立たない記憶だったと諦める。
「大家さん、とりあえず寝室に連れていきますからね」
この人の事だ、きっと朝から調子が悪くても、仕事のために這い出して来たんだろう。
スリープモードに入っている大家さんのパソコンと、床にぶちまけたような本がその証拠だ。
とにかく、この人をちゃんとした所で寝かせなければ。
大家さん家の中は、リビングと台所(あれ以来出入り禁止だけど)しか入ったことがなかった。
でも多分、うちとそんなに間取りは変わらないと思う。
廊下に出てすぐのドアを開けると……ビンゴ。
布団が敷かれたままの寝室だった。
