「み、脈!!」
指を大家さんの首筋に当てると、微かな躍動が伝わってきた。
生きている、と安堵の息を漏らす。
「大家さん?大家さん?」
毎日掃除しても次の日にはすぐ散らかる本を手早く積んでまとめ、ぐったりとした大家さんの頬をぺちぺち叩いてみた。
うつ伏せのままじゃらちがあかない。
えいやっと全体重をかけて大家さんをひっくり返すと、息苦しそうにみじろいだ。
「う……」
心なしか頬が赤い。
おでこに手を当てると、信じられない程熱く、私の頭はまたパニック状態に陥った。
「熱だ!ど、どうしよう」
脳みそをフル回転させ、自分が熱の時のことを思い出す。
